【番外】動画⑬ 痩せるのは簡単! 科学的に正しいダイエットとは?
*****本動画の概要*****
・ダイエットにはノウハウがある。
・「食事量を減らし運動量を増やす」は間違っていることを示す臨床研究が多数ある。
・複数のRCTを解析した3つのメタアナリシス論文を示す。
○ダイエットにはノウハウがあります。よくあるアプローチは「食べる量を減らして運動する」、ですが、このやり方ではうまくいかないか、効果はあっても一時的です。
○このことを明確に示した、歴史的で有名な研究があります。「ミネソタ飢餓実験(Minnesota Starvation Experiment)」です。実験では健康な若い男性36名に対し、3200kcalという十分なエネルギーを摂取する3ヶ月間を経て、摂取エネルギーを約1600kcalと半分にし、週に35kmのウォーキングを課す6ヶ月間を設定しました。その後、食事の内容を段階的に元に戻し、身体がどう回復するかを3ヶ月間に渡り観察したのです。
○コントロールされた状況下で、「食べる量を減らして運動する」を再現したわけですが、結果としてどのようなことが起こったでしょうか?
1つには、基礎代謝の低下によるパフォーマンスの低下です。心拍数や体温が下がり、意欲が失われました。反面、体重は摂取エネルギーを減らしたほどには低下しませんでした。ここで重要なのは、体重が減らないように身体が代償的に基礎代謝量を低下させるのだ、という事実です。
○○また1つには、食べることに対する強烈な心理的執着です。四六時中、食べ物のことしか考えられなくなり、料理本を読みふけり、社会的関心は失われました。うつ状態やイライラなどの精神的不安定も観察されました。
最後には、最後の3ヶ月間で観察されたリバウンドです。満腹を感じることができなくなり、5000-10000kcalもどか食いする過食に襲われました。結果として全員が、元の体重をあっさりと超えて、却って太ってしまったといいます。
○この実験が示したのは、「意思や根性の力」で、食欲を抑え続けるのは生物学的に不可能だという事実です。それではどうすればいいのでしょうか?
○本動画では、「体重が標準よりも何kgも多い」という方がいかに効率よく確実に痩せるか? というテーマでお伝えします。
先に結論を述べるとポイントは2つ。1つ目は食事の内容。タンパク質と脂質の摂取量を増やし、糖質の摂取をその分、控え目にすること。もう1つは、食事の回数をなるべく減らすこと、です。
人はどうやったら正しく痩せられるのか? このテーマについては長年研究されてきており、栄養疫学の分野においてほぼ結論が出ています。ここでは、3つの重要な論文をご紹介します。
○食事の内容、まずは脂質です。「油は高カロリーだから減らした方がダイエット効果が高いはずだ」、と信じている人が多いと思います。しかし、「食事から脂質を減らすよりも糖質を減らす方が体重減少効果が高い」ことが、13件のランダム化比較試験(RCT)を統合したメタアナリシス論文で明らかにされています。
○本論文は、「1年以上の長期スパンで見ても、超低糖質ダイエット(VLCKD)は、低脂質ダイエットよりも有意に体重を減少させた」と結論付けています。
○脂質は細胞膜の材料であり、1つ1つの細胞のパフォーマンスを決める、とても大事な栄養素です。このことは「不登校は治せる動画⑨」で詳しく述べました。
○またそもそもの話、「糖質は低カロリーで油が高カロリー」だという前提を疑わねばなりません。アトウォーター係数で知られるこの考え方は、空気中での燃焼熱という「物理的な熱量」と「生体内での生理的振る舞い」を完全に混同しています。
栄養素によって、それが摂取された後に身体の構成要素となるのか、ホルモンの材料になるのか、ATPとしてエネルギー源となるのか、は異なります。しかるに「糖質は低カロリーで油が高カロリー」とは、そういったことは全く関係なく、熱量の多いものは身体に蓄積されやすいから良くないのだ、と言っているのです。
○食事の内容、次はタンパク質です。タンパク質も太る原因だと思っている人はいないでしょうか? 「高タンパク質の食事と低タンパク質の食事とを比較した場合、高タンパク質の方が痩せやすく、筋肉量も減りにくい」ことが、24件のランダム化比較試験(RCT)を統合した1,063名を対象としたメタアナリシス論文で示されています。総摂取エネルギー量を同等にした場合、タンパク質の割合をより多くした方が、筋肉量は減らさずに体重を減らしやすいということです。
○脂質とタンパク質は、我々の身体を作る材料となります。かつ、生命活動といわれる体内で起こる営みのほぼ全ては、タンパク質の働きです。
○身体が本当に欲しているのはこれらの栄養素なので、これらを摂取して腸を通過する際に、「満腹シグナル」と呼ばれる複数の消化管ホルモンが分泌され、もう食べなくてもいいという情報が脳に届きます。
糖質ではなく脂質とタンパク質とをしっかりと摂取すれば、食べ過ぎるということはそもそも出来ないはずなのです。またこの理由で、タンパク質の摂取量過剰を心配する必要はありません。身体に害となるほどたくさんのタンパク質を摂取し続けることは、身体の仕組み的にできないからです。
○最後に、食事や間食の頻度です。少量ずつこまめに食べる方が痩せやすいと考えている人はいないでしょうか?
○平均約7年間という長期間、健康な成人50,660人、の追跡において、食事の頻度が少ないほど、夜間の絶食時間が長いほど、朝食を多く食べるほど、BMIは低下する、ということが示されています。
まずは間食を止める。できれば食事の回数を減らす。朝昼、または朝夕の2食として、夕食を摂る場合にはなるべく早い時刻に済ませる、ということになります。
○この話をすると、お腹が空いて力が出ないのでは?、あるいは、低血糖症を起こすのでは?、と思われる方がいると思います。飽和脂肪酸であるバターを上手に利用することをお勧めします。まずは1週間で構いませんので、毎食、一切れのバターを摂取するようにしてみて下さい。とても腹持ちが良く食欲のコントロールが容易であること、たった一切れのバターが多くのエネルギーを生み出していること、がすぐに実感できると思います。糖質の摂取量が相対的に減ることで、血糖値も安定し、低血糖症はむしろ起こりにくくなります。
○本動画の結論を繰り返しますが、ダイエットのために必要なのは、①タンパク質と脂質をしっかりと摂取し、結果として糖質の摂取量を減らすこと、それから②食事の回数を減らすこと、です。
○総摂取エネルギー量を減らし運動をするというアプローチは、一見理に適っているように見えますし、確かに一時的には体重を減少させる効果があります。しかし身体はエネルギー摂取量が減ったことに適応して基礎代謝量をも減らしてしまうため、パフォーマンスは落ち、空腹感から必ずリバウンドを来してしまいます。
○一方、食事の量を減らすのではなく、空腹時間をしっかりと確保すること。即ちファスティングは、ダイエットのためにはとても有効な手段です。前提だといってもいいかもしれません。大きな違いは、基礎代謝量への影響です。空腹時間が長くなるということは、狩猟採集の昔に置き換えると、獲物が捕れないということです。この時に基礎代謝量、即ちパフォーマンスが下がってしまっては、そのまま死んでしまいます。ですので身体は、なるべく基礎代謝量を減らさずにこの期間を乗り切ろうとします。これが我々の遺伝子に刻まれた、環境変化に対する適応です。
○ファスティングには合目的なもう1つの利点があります。それはオートファジーの活性化です。オートファジーとは簡単に言うと細胞レベルでのアンチエイジングです。細胞内に溜まった「異常タンパク質」や、効率の落ちた「老朽化ミトコンドリア」が除去されるため、細胞全体のエネルギー(ATP)産生効率が却って上昇するのです。
○ファスティングというと何日も食事を摂らないことを連想されるかもしれませんが、食事の回数を減らすことも立派なファスティングです。1日3回食事を摂っている人は、まずは食事を1日2回に減らしてみてはどうでしょうか?間食も、身体にとっては食事と区別がつきませんので、当面控えるべきことは当然です。

